楽しみです 1月1日より五木寛之「親鸞第2部」新聞連載開始

仕事柄、文化とか歴史とかに無縁な立場ではありません。そのせいか、北海道新聞朝刊に連載された五木寛之さんの「親鸞」たいへん楽しく毎日目を通していました。

今回第2部が同紙でも2011年1月1日から開始されます。今回は流罪となった親鸞が、都から離れおのれと信仰を見つめながらの生活を送っていく時代が描かれます。法然に導かれ、開眼した親鸞、本当のひとりだちの試行錯誤が描かれるでしょう。平和と民衆の幸せとは、それと向かい合う信仰とは、大きな課題に向き合っていく親鸞の後半生のはじまりです。

五木さんの熱意ある語り口、ふたたび味読できる機会ができたのはうれしい限りです。毎朝が刺激的にまたなります。

前回の連載、北海道新聞をはじめとする全国さまざまま新聞が共同掲載でした。今回もそうなのでは。ということは、北海道ばかりでないいろいろな知人たちと「親鸞」で語りあう機会になることです。前回もそうでしたから、またワクワクした気持にさせられています。

2010年12月29日 会員N

天木直人「さらば日米同盟」

このブログに天木直人さんのブログ「天木直人のブログ」をリンクしました。考え方や意見がもっと知られてほしいと世話人会で判断したからです。個性的なブログです。どうか読んでください。ご本人はたぶん口ほど辛口ではない、温かい甘栗のような人ではないかと私は勝手に思っていますが。

今年6月、元外交官天木直人さんは、「さらば日米同盟! 平和国家日本を目指す最強の自主防衛政策」(講談社)を出版しました。鋭い舌鋒で、日本の現実と今後の方向についてご本人の意見を語っています。私にとっては、出版直後読みましたが鮮烈な印象を受ける体験となりました。問題意識の薄かったことを痛感させられた機会となりました。全部を理解し納得したとは到底言えませんし、わからないことも持ち越しも結構ありました。しかし時宜にかなった発言です。ひとつのテキストとして論じあう対象としても。

「鳩山首相に対する助言のつもりで書いた『さらば日米同盟!』は、いまや菅直人首相につきつける建白書になったのだ。」(あとがき )

本書で天木さんは、現在言われている日米同盟とは、「日米軍事同盟」であるとし、その意味での日米同盟は必要なものではなく、「さらば日米同盟!」でなければならないと述べています。

現在、北朝鮮の韓国に対する挑発砲撃がなされ、米韓の対抗軍事演習がなされ、菅内閣が米韓の軍事演習に協調理解の姿勢をとっています。さらに、12月17日の菅内閣の新防衛大綱、これまでの基盤的防衛力構想に対し、新に「動的防衛力」なることを言い出しました。これは問題ありと私も受け取りましたから、なおさら建白書の意義が増しているとの気持になりました。また日本のマスコミ(沖縄では違うようですが)が、まだ「日米(軍事)同盟」容認一色で、米韓日の威圧的共同行動に無批判のように思われる今、天木意見もっと知られてほしいと思っています。

天木さんの考え方、柔軟です。
「私は本書によって自分の考えを読者に押しつけるつもりは毛頭ない。人は誰もそれぞれの意見を持てばよい。重要なことは、一人ひとりが日米同盟の真実を知り、その是非について自分の頭で考えることだ。考えたうえで自分の異見を持つことだ。その結果、日本国民がやはり日米同盟は重要だ、と考えるのであれば私はそんな国民の意見を尊重する。
しかし、戦争国家米国の今後を見通す限り、日本は米国との軍事同盟から決別し、自主、自立した平和外交の道を歩み始めるしか日本の未来はない。そう私は確信している。その思いを書いたのが本書である。」

多面的で多彩な分析と論陣が本書には盛り込まれています。また護憲勢力とみなされる人たちへの辛口な意見、いろいろな考え方の人たちの声を盛り上げようとする天木さんの気持、現れています。

国家としての日本のアイデンティティー(他と区別される独自の性質や特徴)、それは平和国家としての世界への貢献する存在として努力することと述べています。そのために憲法九条の堅持というところが必須であるということを、天木さんもおっしゃりたいようです。天木さんからは視野と着眼点いろいろ示唆を受けられます。九条を大事に考える人もそうではない人にとっても、耳を傾けるべきことではないでしょうか。

私も考えようと改めて思いました。そうでなければ、この日々刻々のなか、人とも話し合っていけませんから。

日本経済新聞朝刊「私の履歴書」12月は、元米国防長官ウィリアム・J・ペリーです。技術者・経営者からはからずも国防省に勤務することになり、国防長官にまで上り詰めたひとでした。キューバ危機をはじめとして生々しい体験や経験教訓を率直に吐露しています。まことにこれもタイムリーな企画の登場でした。彼にしてその体験から「非核の時代」になっていかなければならないと肝に銘じていることは興味深いものがありました。教えられることの多い連載になりました。

さて終盤でペリー氏、日米同盟のことに言及してきましたが、これがまた米国の都合とはこんなに面の皮が厚いのかと思われるもの。ペリー氏にしてもそうかと感じさせられました。

日本人が、日本が、正しい声を米国にぶつけることが、いよいよ大事なようです。その意味でも「さらば日米同盟」この正月に改めて読み直してみます。

2010年12月24日 会員UE