吉井英勝さんの提言、城南信用金庫さんの決断、そして5月15日NHK教育テレビETV特集

3月11日以来、東京電力福島第一原子力発電所の被災事故が起こり、なお収束していません。緊張の中、対策努力が続けられています。報道で進行状況ある程度把握していますが、祈るような気持で日々を過ごしています。想定内の最悪事故にならないように願って。

この間、4月にふたつのことが私の認識を改めさせ進めさせることとなりました。日本共産党国会議員の吉井英勝さん(京都大学工学部原子力工学科)の著書「原発抜き・地域再生の温暖化対策」(新日本出版社 2010年10月発行)を読んだことと、東京の城南信用金庫が出した声明「原発に頼らない安心できる社会へ」(ホームページに掲載されています)を読んだことです。いずれも私の知らなかったことですが、インターネットなどで話題となり、関心を持ち読む機会となりました。関連した新聞報道ありましたが私がインターネットで知ったよりもだいぶ遅いものでした。

吉井さんの本、たいへん臨場感がありました。原発事故に対して警鐘をならしているところはまるで震災後に出版されたような気にさえさせられました。吉井さんが(共産党としてもかもしれません)かねてから心配していたこと、実際に起こってしまいました。その声に日本政府や電力会社が対応していたら、もう少し被災は軽く済んだかもしれなかったのです。今からでも遅くありません。適切な提言は取り上げてもらわなくては。

吉井さんの著作は題からでは今回との結びつき私には考えにくく、とまどいながらの読み進みでした。「不出来でセンスのない」(こういう言い方をして申し訳ありません。吉井さん、出版社の方お許しください))題名ですが、たしかにそういう内容の本でした。総合的建設的な提言の本だからでした。しかも3月11日以降にもさらに新鮮さを増している内容と受け止めました。「環境、原発、再生可能エネルギー、防災」が以前からのテーマであり、それに「産業や地域経済」をどうするかということ、さらに「自治体財政と住民福祉の基盤」をどのように安定させるかということ、それらを結びついた課題として取り組んでいたことが本の中心テーマでした。単なる「反原発」ではない視野と奥行きの本と受け止めました。「さすが共産党」とか「どうして共産党が」とかはさておき、志ある政治家の誠実で率直な提言、心に重くしみました。

城南信用金庫さんの声明と姿勢、まっすぐに事態を受け止め分析し自らの課題を明らかにしている点で、まことにいきとどいたものです。企業の経営姿勢として、一歩先に踏み出した点でも、すばらしいものと思いました。

「東京電力福島第一原子力発電所の事故は、我が国の未来に重大な影響を与えています。今回の事故を通じて、原子力エネルギーは。私達に明るい未来を与えてくれるものではなく、一歩間違えば取り返しのつかない危険性を持っていること、さらに、残念ながらそれを管理する政府機関も企業体も、万全の体制をとってはいなかったことが明確になりつつあります。

こうした中で、私達は、原子力エネルギーに依存することはあまりにも危険性が大きすぎるということを学びました。私達が地域金融機関として、今できることはささやかではありますが、省電力、省エネルギー、そして代替エネルギーの開発利用に少しでも貢献することではないかと考えます。

そのため、今後、私達は以下のような省電力と省エネルギーのための様々な取組みに努めるとともに、金融を通じて地域の皆様の省電力、省エネルギーのための設備投資を積極的に支援、推進してまいります。(以下略)」

このふたつのことに続いて、最近もうひとつ5月15日午後9時からのNHK教育テレビETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図」が私には大きな衝撃でした。放射能の専門家である木村真三さん、岡野眞司さんが現地を走り回って測定を行いました。データを京都大学原子炉実験所や他大学の研究者が研究分析しました。ETV特集取材班取材によるそのことの報道です。

木村さんたちの決意と行動そして人のつながりが、事実調査の中から、大きな「成果」(?)をあげたのでした。政府や電力会社などがやるべきことを、やらねばと思った人たちがその手で実行したのです。事なかれ主義にたてつき、あえて火中の栗を拾うようなふるまい、勇気がなくてはできなかったことだったことを知らされました。

東京電力福島第一原子力発電所被災事故、吉井さん、城南信用金庫、汚染地図づくり、これらみっつのことは、私への大きな示唆となりました。それだけ大きな大きな問題だったのです。有権者である日本国民のひとりとして、私なりにも事態とむきあっていかなければならないようです。


2011年5月24日 会員UE