天木直人さんの講演を聞いて

6月25日、グリーン九条の会第4回例会として天木直人さんの講演を聞きました。テーマは「さらば日米同盟」、ご本人が昨年出版された著書の題名と同じです。じつは依頼して承諾いただいたのが、今年2月、3・11大震災前でした。その後大震災が起こり、福島原発被災となり、今にいたっています。本州在住の天木さんも影響なしの立場ではなかったようです。講演内容も震災や原発事故も踏まえた言及となりました。


テーマも含め、今回の催し、どうなることやらとこちらもとまどいました。無事終わってその点でもほっとしている開催者側のひとりです。


当日お聞きした話は、臨場感にあふれたものでした。イラク戦争に対する日本政府小泉内閣の姿勢に対し、レバノン大使として直面することになった本人の発言です。悩み考え、自分の意見を小泉総理などへ具申した経過、判断基準を詳述されました。当事者としての生々しい証言を、私を含めた例会参加者は耳にしたのです。私には以下の点がとりわけ印象に残りました。


自衛隊のイラク派遣に対し、当時の外務省内部にも、賛成歓迎などの空気は一切感じられなかったとか。外務省でもまことに当惑した不安な問題だったということでしょう。しかし、面従腹背かどうかは

とにかく、外務省として小泉内閣の方針に同調し推進し、天木意見を取り上げる姿勢は見せませんでした。見殺しにし排除したのです。当時の同僚上司、今どう思っているのでしょう。


在職当時は、内部で声を上げ、外部に漏らすことなどは一切なかったそうです。それだけ職務の守秘義務にも忠実だった人でした。実質的解雇処分になった後、著作「さらば外務省」(「さらば日米同盟同じ講談社)で初めて自らの見解と小泉総理と外務省に対する批判を公にし、その本で私も天木直人という名前と主張を知ることになったのです。


「さらば日米同盟」、出版のきっかけは、「『さらば外務省』での主張・予測はあたった。今回の主張もそうなることを期待して。」との前著の編集者の言葉からだったそうです。しかし残念ながら、まだ「さらば外務省」には売れ行きははるかに及ばないとか。しかし、当日のサインセールでは20冊完売でした。これからを考えるためしっかり読んでみようという人たちがこれほどでたことは、講演内容が濃さとともに新鮮であることの証ではないでしょうか。


最後になりますが、日米同盟を考えるにあたって、憲法九条をそれを見る指針として直視することの肝要さが、天木さんが示唆したことでした。また、そのことが、原発事故を考えるうえでも通底しているとの指摘があったことも強い印象を私に残してくれました。


2011年7月4日 会員UE