橋下徹大阪市長と人権問題


週刊朝日10月26日号に、ノンフィクション作家佐野眞一氏らによる「ハシシタ 奴の本性」(連載第1回だそうですが)が掲載されました。その内容に橋下徹(はしもと・とおる)大阪市長が、抗議をしていました。10月20日朝日新聞朝刊は、週刊朝日の発行元朝日新聞出版が、2回目以降の連載を中止したと報じました。2008年に分社化させた親会社朝日新聞広報部としても深刻に受け止めているとの声明もあわせてのせています。

週刊朝日の記事のこと、橋下氏のクレームのことは、18日知人に意見を求められるまで、私はぜんぜん知りませんでした。回答のしようもなく、それでは記事を読もうとコンビニで探したのですが、見つからず未見のままです。

したがって、関心を持ちましたが、記事そのものに私見を言う段階ではありません。北海道新聞10月20日朝刊に、連載中止のことについて記事があり、朝日新聞とあわせて読みました。

道新記事で「議論かみあわず」として作家宮崎学氏がコメントしています。記事の中で橋下氏のツィッター発言もでていて、橋下氏のかみつきようがある程度わかりました。宮崎氏の発言、見方の点でたいへん参考となりました。

「議論かみあわず

同和問題に詳しい作家宮崎学さんの話

『週刊朝日』の記事が橋下徹大阪市長の出自と政治スタイルを結びつけようとしたのは誤りだ。ただ、血脈に絞った市長の反論の仕方も、同和問題を本当に理解しているとは思えない。双方に正しい知識がないまま、議論は終始かみあわなかった。」

同じく道新記事では、こう書かれていました。

「影響想像しろ

橋下大阪市長

橋下大阪市長は19日夜、朝日新聞出版が記事の掲載中止したことに関し『これでノーサイドだが、その前に言わせてもらう。僕の子どもにどれだけの影響があるか、じっくり想像しろ』とツィッターに投稿した。」

「血脈にしぼった」との宮崎氏の指摘はあたっているようです。大阪市長は公人の最たるものですから、自身の言動はしっかり見られ批判論評されます。ほめられることばかりではありません。直近の事例では、就任したばかりなのに辞任するか更迭されるかとなった(20日段階ではまだですが)野田内閣の法務大臣がよい例でしょう。

橋下氏ご本人は、身にふりかかった今回の「災難」に対処しました。執筆者も出版社もみとめざるをえない基本的には正当な抗議内容であったようです。

しかし面白いと思いました。宮崎氏の言うとおり、「血脈だけにしぼった」というとおり、橋下氏はこれまで、他人(とくに自分が権限がおよぶ人たちについて)については、言いたい放題だという印象を私は持っているからです。断片的な各種報道(ご本人とされるツィッターも含めて)に触れてと彼についての評価本や批判本をいくらか読んだかぎりですが、良く言えば大胆率直、悪く言えば法曹関係者とは思われない放談、をツィッターその他で発言しています。本人の人権感覚は、よく言えば個性的、悪く言えば穴ぼこ道路的、ではないでしょうか。それを人がすべて認めてくれていて問題ないかというと、そうではないでしょう。しかも言うだけではなくやっていることも、問題ありすぎと人は言い、私も疑っています。

今回のように橋下氏といえども、法の下の平等の立場に置かれ、今の日本国憲法のおかげのもとにいるのです。自分のことになるとわかっているのに、自分以外の人については思いがおよばないのでしょうか。「同和問題を本当に理解しているとは思えない」と宮崎氏に言われてしまった橋下氏、しっかりしてほしいものです。

橋下氏と維新の会の評価、これから改めて問われていくのでしょう。私もしっかり確認していきたいと考えています。


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